Dragonは, 分子記述子の計算用アプリケーションです.
計算によって求めた分子記述子は, 分子の構造活性相関や構造物性相関,
類似性解析, 分子データベースのスクリーニング(HTS)などに利用することができます.
1997年の最初のリリース以来(オリジナルは, Milano Chemometrics and QSAR Research Groupにより開発),
継続的な更新がなされ, 最新バージョンでは, 3,224もの分子記述子を計算することが可能です.
Dragon は, WindowsおよびLinux環境で利用することができます.
Windows版には, スタンドアローンモードでのみ動作するDRAGON Professionalと,
バックグラウンド(コマンドライン)モードでも動作する上位版のDRAGON Plusの2つのバージョンがあります.
Linux版(dragonX)は, GUIが付属せず, バックグラウンド(コマンドライン)モードでのみ動作します.
Dragonバージョン5は, 3,224の分子記述子(Molecular descriptors)を計算することができます.
各記述子の詳細, 出典情報については,
ユーザガイド(Talete社)のDRAGON descriptor listをご覧ください.
| 識別ブロック | 説明 | 記述子数 |
|---|---|---|
| 1 | constitutional descriptors(構造記述子) | 48 |
| 2 | topological descriptors(トポロジカル記述子) | 119 |
| 3 | walk and path counts(ウォークアンドパスカウント) | 47 |
| 4 | connectivity indices(結合指数) | 33 |
| 5 | information indices(情報指数) | 47 |
| 6 | 2D autocorrelations(2D自己相関) | 96 |
| 7 | edge adjacency indices(エッジ隣接指数) | 107 |
| 8 | BCUT descriptor(BCUT記述子) | 64 |
| 9 | topological charge indices(トポロジカルチャージ指数) | 21 |
| 10 | eigenvalue-based indices(固有値に基づく指数) | 44 |
| 11 | Randic molecular profiles(Randicの分子プロファイル) | 41 |
| 12 | geometrical descriptors(ジオメトリカル記述子) | 74 |
| 13 | RDF descriptors(RDF記述子) | 150 |
| 14 | 3D-MoRSE descriptors(3D-MoRSE記述子) | 160 |
| 15 | WHIM descriptors(WHIM記述子) | 99 |
| 16 | GETAWAY descriptors(GETAWAY記述子) | 14 |
| 17 | functional group counts(官能基カウント) | 154 |
| 18 | atom-centred fragments(原子中心フラグメント) | 120 |
| 19 | charge descriptors(チャージ記述子) | 14 |
| 20 | molecular properties(分子特性) | 29 |
| 21 | 2D binary fingerprints(2Dバイナリフィンガープリント) | 780 |
| 22 | 2D frequency fingerprints(2D度数フィンガープリント) | 780 |
原子種や官能基, フラグメントの数を数えるだけでなく, 位相的なパラメータや幾何学的なパラメータを計算することができます. また, LogPやモル屈折度, 回転結合, H供与体, H受容体の数, TPSA等の分子特性を, 文献で公表されている一般的な手法を用いて計算することができます. さらに, 生物学的スクリーニングやコンビナトリアルライブラリ設計において, 化合物を選び出すために, 薬らしさを示す指数や,Lipinskiのルール・オブ・ファイブ(アラート機能)を利用することができます.
Dragonで分子記述子を計算するには, 分子構造ファイルが必要です. 対応ファイル形式は, 次のとおりです.
(*) Linux用のdragonXは, MacroModelのファイルを読み込むことができません.
Dragonの全ての記述子を計算するためには, 水素原子が付加され, 最適化された3次元構造を
用いる必要があります. ただし, 水素原子が付加されていない分子や
2次元構造情報しか持たない分子から計算可能な記述子もサポートされています.
大半の有機, 無機化合物については電荷(charged / uncharged)を正しく計算できますが,
現在のDragonは, 物理化学的な特性が定まっていない原子を含む分子(構造が分離した塩やラジカル分子など)の計算は行えません.
履歴ファイル(Draghist.log)は, バッチ処理に関連する全ての情報が記録され, 計算毎に出力されます.
実験値や分子に関する追加情報など, 変数や一連のフィールドを, 計算結果にインポートすることができます(例, CAS番号, 製品コード等). メインウィンドウの'Load responses'ボタンをクリックすると, ユーザ定義変数(数値と文字列)のインポート用ダイアログが表示されます(※Windows版のみ). このダイアログのメニューからASCII形式ファイルのインポートと, 変数の指定を行うことができます. ここで選択した変数はDragonに直ちに取り込まれ, 計算された分子記述子と共に, 相関解析や最終的な出力ファイルの保存などに利用することができます (ユーザ定義変数は, 新しく変数をロードするまで有効です).
計算する記述子を選択する際にPCsチェックボックスを選択していれば, 同時に記述子ブロックの主成分スコアが計算されます(最低でも10分子が必要). これらの値は, 出力ファイルを保存するまでの間有効で, ユーザ定義変数と共に 分子の分布や相関解析に利用することができます.
標準的なDragon出力ファイルは, 最初に2つの固定列があり(1つは分子の連続した番号(No.)もう1つは分子識別子(MolID)), 続いて, 'Load responses'からロードした文字列定数(最大3), 最後に, 選択した分子記述子, それらのPCs(チェック時), 数値的なユーザ定義変数(ロードかつチェック時)が続きます. 出力ファイルに文字列変数, 例えば, CAS番号や製品コード, 特定の名称等を追加する機能は, 非常に重要です.
'Save descriptors'メニューから, 保存する記述子, 出力ファイルのタイトル, 欠損値のコード, 出力ファイルの形式を選択することができます. さらに, 出力ファイルから, 情報量の少ない変数を除外することや全ての記述子を同じファイルに保存するか, 記述子ブロック毎に別々に保存するかを選択することができます.
記述子の解析を行うために, インタラクティブなグラフ機能が搭載されています. ある1つの記述子を解析するためにヒストグラム図, パレート図および一変量の統計値 (平均/標準偏差/最小/最大)を利用することができます. また 'View molecules in the descriptor/response space'メニューから, 折れ線グラフ, 2D/3Dの散布図を作成し, 表示することができます. これらのグラフは, ユーザ定義変数を含むデータ間の相関解析や 記述子/主成分空間における分子分布の解析に利用することができます.
Dragonに関する情報は, 開発元ウェブページ(Talete社) もあわせてご参照ください.