QualTrace
精密なデータ管理とリアルタイムの品質コントロールを備えた遺伝子解析ソフトウェア
目次
製品概要
QualTrace IIIは「PeakTrace Basecaller™シリーズ」の「PeakTrace:Box™」(*1)の拡張機能として動作します。ご使用の際には「PeakTrace:Box™」のご購入が必要(*2)となりますのでご注意ください。
QualTrace IIIは、QualTrace II(*3)を改良した、サンガーDNAシーケンシングトレースの品質管理とフィードバックを行うために設計されたトレース分析モジュールです。QualTrace IIIは「PeakTrace:Box™」に統合されており、グラフィカル・ユーザー・インターフェイスからご利用いただけます。また、無償のオンライン評価版をご利用いただくこともできます。
(*1) 「PeakTrace:Box™」は、中~大規模の施設向けに設計された「PeakTrace Basecaller™シリーズ」の独立型ハードウェアシステムで、グラフィカル・ユーザー・インターフェイスとコマンドライン・バージョンから構成され、オフラインでの大規模な解析にご利用いただけます。
(*2) 「PeakTrace:Box™」の姉妹製品である「PeakTrace RP™」は、小~中規模の施設向けシステムで、データ処理をNucleics社PeakTraceサーバーでリモートで行います。「PeakTrace RP™」では、QualTrace IIIの機能はご使用になれませんので、ご注意ください。
(*3) QualTrace IIの販売ならびにサポートは終了しています。
開発元:オーストラリア Nucleics Pty Ltd
主要な機能
QualTrace III では、DNA シーケンサーとテンプレートの品質に関する 47 のパラメータについてフィードバックが提供され、これを使用して生産品質を経時的に追跡することができます。また、PeakTrace 6 では、QualTrace III データのテキストベースのファイル(トレースレポート)を生成してエンドユーザーに提供することができ、データが期待を下回っている理由や、より良いデータを得るために変更すべき点についてのフィードバックを得ることができます。
キャピラリー・アレイの寿命延長
QualTrace IIIの解析結果を用いて、各キャピラリーのパフォーマンスを正確に追跡します。このデータにより、交換時期までキャピラリー・アレイを数百回程度多く使用することができます。
シークエンス・プロトコルの最適化
シークエンス・プロトコルでは、わずかな変化または偏流が配列の品質に大きな損失をもたらします。QualTrace IIIによる解析により、問題の要因となるデータが明示され、最適化を効率的に行うことができます。
適切なアドバイス
QualTrace IIIは、各AB1ファイルからトレース報告ファイルを作成することができ、ユーザーに失敗の原因と解決策を迅速に説明することができます。
実行状態の正確な追跡
マシンと実行中の変動のため、シークエンス処理の間に発生した事が一体何なのか厳密には不確かなことがしばしば生じます。QualTrace IIIを用いれば、各サンプルの実際のシークエンス処理状態に関する詳細かつ正確な記録を提供することができます。
技術情報
オプションパラメータ
デフォルトの設定を修正することが可能です。
- 遅延第一ピーク
- トレースの予想値から実際の最初のピークの遅延のパーセンテージ。デフォルトは 133% 。
- クロストークしきい値
- スペクトル較正として分類されるトレースのための DNA シーケンシング機器の誤校正によるスペクトルクロストーク(1 つのチャンネルから他のチャンネルへの信号のブリード)のパーセンテージ。デフォルトは15%。
- シグナル2ノイズベース
- トレースの優劣を判断するために信号とノイズの測定が行われるおおよその基準。デフォルトは 700。
- シグナル2しきい値
- トレースの優劣を判断するために使用される信号対雑音比。デフォルトは 4。
- 初期シグナルベース
- 初期シグナル対雑音比(EARLY SIGNAL)を決定するベース(中間信号ベース)。デフォルトは0。
- ミッドシグナルベース
- 中間シグナル対雑音比(MID SIGNAL)を決定する後期信号ベースに対するベース。デフォルトは450。
- 遅延シグナルベース
- 遅延シグナル対雑音比(LATE SIGNAL)が決定されるベースコールの終わりに対するベース。デフォルトは900。
- 低解像度
- トレースを低解像度化するために設定される測定ピーク幅。デフォルトは 300%、ベースは 700。
- 品質しきい値
- GOOD BASEの計算に使用される最低品質スコア。デフォルトは20。
- 連続読み込み長
- CRLの計算に使用される品質スコアの最小しきい値とウィンドウサイズ。デフォルトは20と20。
- 混合ピークしきい値
- ピークを混合信号として分類するために必要な、プライマリピークの下にある2番目のピークの高さの割合。デフォルトは50%。
- 混合トレースしきい値
- 混合ピークのパーセンテージは、トレースを早期混合または後期混合に分類するための混合ベースウィンドウです。デフォルトは40%。
- 早期混合ベース開始
- 初期混合ベース領域の開始ベース。デフォルトは 50。
- 早期混合ベース終了
- 初期混合ベース領域の終了ベース。デフォルト250。
- 遅延混合ベーススタート
- 後半混合ベース領域の開始ベース。デフォルトは 500。
- 後半混合ベース終了
- 後期混合ベース領域の終了ベース。デフォルトは700。
- バブルスパイクしきい値
- 気泡の存在を検出するために、4つのチャンネルすべてで強い信号を持つ狭いピークが平均ピークの高さよりも上になければならないパーセンテージの高さ(BUBBLE)。デフォルトは200%。
- ピークしきい値
- 4チャンネル全てで強いシグナルを持つブロードピークが、それ以上でなければ計算の対象とならないパーセンテージの高さ(カットするピークの平均の高さ)。デフォルトは300%
- トレースレポート
- トレースレポートのオプション。no report、blief、standard、full。デフォルトはno report
- 出力品質トレースログ
- qualtraceログファイルを生成するかどうか。生成されるタブ区切りのログファイルは、”qualtrace.xls “という名前で出力フォルダに保存されます。既定値はチェック(QualTraceログファイル出力)。
収集されるデータ
QualTrace IIIは、シークエンス処理の4チャネルの実行日、ファイル名、機器名、実行モジュール、実行名、ベースコール、キャピラリーの長さ、ポリマーロット、トレイ名、トレイウェル、サンプルID、サンプル評価、サンプルオーナー、シーケンサー操作者、トレイ温度、検出器温度、稼働時の電圧量、スキャン率、レーザーパワー、ラン・カレント、稼働力、稼働時の温度、注入時の電圧量、注入時間、稼働収集時間、トータルスキャン、CCD検出器の過負荷、ノイズレベル等の全作動条件データを収集します。
さらに、ピーク間スペース、配列品質スコア、連続した解読塩基数、シグナルのクロストーク、バブル・スパイク、DYEシグナル、無効ピーク数、シグナルの開始、初期・中期・後期シグナルにあるS/N比、インデル、総塩基数、総良品質塩基数、早期ミックスピーク率、ピーク分離度、配列品質でのあらゆる制限の要因をトレースデータから計算することができます。
トレースレポートの例
レポートファイルは、トレースファイルの後に “_report.txt” を追加した名前が付けられ(例:トレースファイル名が “trace123.ab1” の場合、トレースレポートファイルは “trace123_report.txt” という名前になります)、出力トレースファイルと同じフォルダに保存されます。
4つのトレースレポートオプションと出力は、以下の通りです。
- No Report
- トレースレポートの出力を禁止します。これは既定値です。
- Brief
- 主要な解析結果の簡単な説明を出力します。
(出力例)
SUMMARY
Trace File: ABI_3130_1200_B.ab1
PeakTrace Class: Success
Total Bases: 1367
KB Good Bases: 1333
PT Good Bases: 1340
Improvement: 0.5%
Date: 2015/08/11 10:55:00
Trace Score: 50
Contiguous Read Length: 1344
- 主要な解析結果の簡単な説明を出力します。
- Standard
- 主要な解析結果の概要と詳細な説明を出力します。
(出力例)
SUMMARY
Trace File: ABI_3130_1200_B.ab1
PeakTrace Class: Success
Total Bases: 1367
KB Good Bases: 1333
PT Good Bases: 1340
Improvement: 0.5%
Date: 2015/08/11 10:57:38
DETAILS
QualTrace Class: Excellent trace
Average Peak Spacing: 14.41
Run Time: 9000 sec.
Total Scans: 17960
Detector Overload: 0
Trace Score: 50
Contiguous Read Length: 1344
Dye Signal: 0.94
Bubble Spike(s): 0
Void Peak(s): 0
First Peak at Scan: 1276
Early Signal to Noise: 80
Mid Signal to Noise: 64
Late Signal to Noise: 46
Signal at Noise Level at Base: 1406
InDel(s): 0
Early Mixed Peaks: 0.00
Late Mixed Peaks:0.00
Peak Width at Base 700: 13.29
- 主要な解析結果の概要と詳細な説明を出力します。
- Full
- 分析に使用したPeakTraceとQualTrace IIIの設定を含む、解析結果の概要と詳細をテキスト形式で出力します。
(出力例)
SUMMARY
Trace File: ABI_3130_1200_B.ab1
PeakTrace Class: Success
PeakTrace Code: 0
Total Bases: 1367
KB Good Bases: 1333
PT Good Bases: 1340
Improvement: 0.5%
Date: 2015/08/11 11:00:21
DETAILS
QualTrace Class: Excellent trace
QualTrace Code: 40
Sequencer: 3730-16112-027-16112-027
Run Module: XLRSeq50_POP7_1
Run: Run_3730-16112-027_2007-03-17_16-00_0297
Run Date: 2007/03/17 17:00:52
Original Basecaller: PT 5.51
Capillary Number: 23
Capillary Length: 50
Polymer Lot: 0701015
Tray: 343
Tray Well: B5
Sample ID: 58e5d004d3f311ebaabf000d56d7a0f8
Sample Name: 23997
Sample Comment:
Sample Owner: Daniel_Tillett
Sequencer User: Daniel_Tillett
Run Temperature Set: 60 deg.C
Run Voltage Set: 6.10 kV
Scan Rate: 0.25 sec.
Measured Run Voltage: 6.0 kV
Measured Run Current: 143.0 mA
Measured Run Power: 25.0 mW
Measured Run Temperature: 60.0 deg.C
Injection Voltage: 15.0 kV
Injection Time: 15 sec.
Average Peak Spacing: 14.41
Run Time: 9000 sec.
Total Scans: 17960
Detector Overload: 0
Trace Score: 50
Contiguous Read Length: 1344
Average Detector Noise: 5.21
Spectral Calibration: 0.08
Dye Signal: 0.94
Bubble Spike(s): 0
Void Peak(s): 0
First Peak at Scan: 1276
Early Signal to Noise: 80
Mid Signal to Noise: 64
Late Signal to Noise: 46
Input Total Bases: 1406
Signal at Noise Level at Base: 1406
Quality Score Threshold: 20
InDel(s): 0
Early Mixed Peaks: 0.00
Late Mixed Peaks: 0.00
Peak Width at Base 700: 13.29
PEAKTRACE SETTINGS
Trace File Output: ab1
Seq File Output: abi
.phd.1 file output: no phd
Good Base Improvement: -20
Good Quality Threshold: 20
N Base Threshold: 5
Mixed Peak Threshold: 0
Signal Start Peak: auto
Basecaller: peaktrace
Fuse Trace at Base: 20
Q Average Trim: 12 20
Force Processing: no
True Profile: no
Skip Short Traces: no
Trim Improved Traces: yes
Stealth Mode: no
Noise Raw Data: no
No Peak Resolution: no
Clean Baseline: no
Extra Normalization: no
QUALTRACE SETTINGS
Delayed First Peak: 133%
Crosstalk Threshold: 15%
Signal to Noise Base: 700
Signal to Noise Threshold: 4
Early Signal Base: 80
Mid Signal Base: 64
Late Signal Base: 46
Poor Resolution Threshold: 300%
Poor Resolution Base: 700
Quality Threshold: 20
Contiguous Readlength: 20 20
Mixed Peak Threshold: 50%
Mixed Trace Threshold: 40%
Early Mixed Base Start: 50
Early Mixed Base End: 250
Late Mixed Base Start: 500
Late Mixed Base End: 700
Bubble Spike Threshold: 200%
Void Peak Threshold: 300%
- 分析に使用したPeakTraceとQualTrace IIIの設定を含む、解析結果の概要と詳細をテキスト形式で出力します。
バージョン情報
PeakTrace:Box™ (Auto PeakTrace and PeakTrace)
- PeakTrace:Box™ バージョン6.95(2020年9月1日リリース)
- PeakTrace:Box™ バージョン6.94(2019年12月20日リリース)
- PeakTrace:Box™ コマンドライン バージョン6.92(2018年12月10日リリース)
- PeakTrace:Box™ バージョン6.90(2018年3月2日リリース)
- PeakTrace:Box™ バージョン6.60(2017年6月13日リリース)
QualTrace III
- QualTrace III Onlineがリリースされました。(2016年3月14日)
- QualTrace IIIがPeakTrace 6の拡張機能としてリリースされました。(2015年9月7日)
動作環境
PeakTrace:Box™ 6.951 最小構成 (2020年9月15日現在)
グラフィカル・ユーザー・インターフェイス
- Windows(XP/Vista/7/8/10)
- Windows Server 2003, 2008 は正式サポートOSではありませんが、ご希望があればお問合せください。
- SSE3をサポートするIntel Core CPU。※CPU性能が律速になるため、最新のCPU使用を推奨します
- RAM 2 GB
- 25 GB 空きディスク容量
- 1028×768 以上の画面解像度
- 有効ライセンスと2.04以降のファームウェアを含む PeakTrace USB Key
- CodeMeterランタイム6.70a 以降
※PeakTraceは仮想化環境(VMware、Xen等)では動作しませんので、ご注意ください。
コマンドライン・バージョン
- 64-bit Linux (REHL7/CentOS7以上)
ライセンス形態
オプション機能
QualTrace IIIは、PeakTrace:Box™内のオプション機能としてご利用いただけます。
独立したライセンス形態
QualTrace IIIのスタンドアロン版は、PeakTraceの一部としてご利用いただけます。PeakTraceライセンスから独立したQualTrace IIIライセンスには、有効期限が設定されています。詳細はQualTraceオプションウィンドウで確認することができます。有効期限に近づいた時には、お問い合わせフォームからお問い合わせください。ご使用を延長するためには、CodeMeter Control CenterからUSBキーにQualTrace専用のunitsを追加する必要があります。
評価ライセンス
無償オンライン評価版が、QualTrace III Onlineで提供されています。(.ab1形式ファイルのアップロードに対応)
価格情報
ライセンス形態と価格については、お問い合わせフォームからお問い合わせいただくか、弊社営業までお問い合わせください。
最終更新日:2020/12/04