SingleCrystal 技術情報

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GUI・解析イメージ

SingleCrystal メイン画面 SingleCrystal メイン画面 SingleCrystal メイン画面 SingleCrystal メイン画面

 

主要な機能の詳細

単結晶を対象にした回折シミュレーション

SingleCrystalは、リアルタイムで、インタラクティブな単結晶回折シミュレーション結果を、非常に高い解像度でグラフィック表示を行うソフトウェアです。回折構造に対する任意の高さの標準断面図あるいは補正逆格子の断面図が表示されます。さらに、歳差電子回折法を含む透過型電子顕微鏡(TEM)によるシミュレーション(任意で菊池線の表示が可能)やLaue法によるシミュレーション(前面プレート、後面プレート、円筒構造)を行うことができます。必要に応じて粉末環を表示することが可能です。

 

SingleCrystal 単結晶を対象にした回折シミュレーション 球状の結晶に対する菊池線のシミュレーション。右側に関連する対称面のステレオグラムを示す

 

多相回折

多相回折のシミュレーションは、結晶や観測回折イメージをウィンドウへ追加することと同じぐらいシンプルです。各パターンは互いに関連付けられる形で回転や移動が行われ、トグルスイッチでの「オン」と「オフ」、複製(「複製前」と「複製後」を比較しながら編集)、他のウィンドウへのコピーが行われます。双晶関係やトポタクティック(同じ結晶構造で元素が入れ替わる)関係の理解に非常に役立ちます。

 

SingleCrystal 多相回折 双晶に対するTEM回折シミュレーション。2つの双晶方向の反応が赤い点と青い点でカラーリングされ、結晶方位の関係((101)に関する鏡反射)は画面右側のステレオグラム内に(極小化表示で)簡略化して表示
SingleCrystal 多相回折 粉末環と単結晶反射の間で比較される多相パターンのTEM回折シミュレーション

 

パラメータ制御のリアルタイム処理

シミュレーションインスペクタによって、サンプルと機器パラメータ(波長、カメラ長、光度彩度、ガンマコントロール、ビーム収束、サンプルの厚さ(TEM)、サンプル容積、セルパラメータ、部位の充填率)をリアルタイムで制御します。表示される属性(カラーリングや透明度、ラベリング、組織的な空白部分、フォント、拡大、配置など)は、「表示インスペクタ」を用いてインタラクティブな操作で調節することが可能です。

 

SingleCrystal リアルタイムパラメータ制御 シミュレーションインスペクタを使った1つの相の中でのせん断変態の様子。対応する回折パターン(赤い点)を、補正される前のオリジナルパターン(黒い点)と比較。

 

回転と拡大縮小のリアルタイム処理

回折パターンの回転や拡大縮小はリアルタイムで処理されます(マウスでのクリックアンドドラッグ、トラックパッドやタッチスクリーンを使ったマルチタッチ操作、スクロールホイールやツールバーのチルトコントロール、Macのタッチバー回転ダイヤル、キーボード)。また、チルト操作を細かく1度刻みで行うことや、結晶のビュー方向を面法線あるいは格子ベクトルと同じ方法で決めることが可能です。

 

SingleCrystal リアルタイム回転と拡大縮小 MacBook Proで利用可能なタッチバーレイアウトの例。デフォルトのレイアウトでは結晶方位や回転のダイヤル、回転ボタン、拡大縮小ボタン、彩度ボタンが表示(1列目)拡張表示では回転ダイヤルを表示(2列目)結晶方位(3列目)彩度(4列目)

 

測定と調査

画面ツールは、シミュレーションパターンに対して、インタラクティブな距離や角度の測定を行います。Macでのタッチ操作によるフィードバックは、文字通り「反射を触って感じる」方法です。統合された反射リストの中から、視覚的な分類やタイプ別の分類でフィルタリングを行い、シミュレーションされた反射の検索、閲覧、並べ替えを行います。

SingleCrystalの特徴は、観測回折イメージの高度な表示方法です。回折イメージに対し、鮮やかなグラデーションを含むカラーリングがなされ、縁のレベルを、見易くするためにカスタマイズすることが可能です。画面上にオーバーレイ表示される物差しツール、分度器ツール、グリッド線を用いることで、観測回折イメージの高精度な測定を行うことができます。測定方法の中には、オーバーレイ物差しを使用した強度プロファイルオプション(2Dクロスセクション)があります。

 

SingleCrystal 測定と調査 (カラーリングされた)観測TEM回折画像に対する強度分布のプロファイリング

 

観測パターンの自動インデックス

シミュレーションパターンは、観測パターンと重ねて比較を行うことが可能です。グリッドツールを使って自動インデックスを行うことは非常に簡単で、グリッドポイントを観測パターン(TEMあるいは歳差画像)に対して位置を決め、最適な結晶方位の計算を行い、回折スポットをインデックスします。

 

SingleCrystal リアルタイムパラメータ制御 自動インデックス:オーバーレイ表示グリッドを使った観測TEMパターン(SingleCrystal内でカラーリングや回折スポットの強調を行われ、より簡単に測定を行うことができる観測イメージ)

 

ステレオグラム

回折空間を理解するために、ステレオグラム実況モードを利用することが有効です。ステレオグラム実況モードでは、結晶方位に基づいた、フルサイズ表示、あるいはミニチュア表示がなされます。ステレオグラムにより、面法線の角位置や極に沿ってプロットされた格子ベクトル(軸ゾーン)を表示し、大きな球や小さな球の軌跡を任意で描きます。

専用のステレオグラムインスペクタを使って、極の追加、あるいは、プログラム内での最大(hkl)面に対する極や、関連する対称の極の自動的な追加処理のリクエストを行うことができます。対称性やN値を使った極のグループ化、ならびにカラーリングを実施することが可能です。さらに、拡張投影コントロールを使い、属性表示(ステレオネットや線、幅、極、フォントサイズなど)をカスタマイズすることができます。

ステレオグラムの特徴
任意の極をベクトルや面法線に対して追加
関連対称方向の追加
最大指数まで全ての極を自動的に追加
対称性やN値に対して極をグループ化
各グループ、対称性、N値毎のカラーリング
コメントの追加、大円輪郭のオンオフ
任意の極の周りの小円の表示
可視化のカスタマイズ、南極投影のコメント
線幅、極サイズ、フォントのカスタマイズ
ミラー-ブラベ4指数表示オプション
回転ダイヤル操作のステレオグラムオプション
極に付属するヒントコメントでは方向と仰角を表示
極のダブルクリックでビュー方向を設定
選択された2極間の角測定
ゾーン表示と選択された2極間のゾーン軸の表示
ステレオグラムのクリックアンドドラッグで結晶を回転
詳細設定のためのステレオグラムの最大化
「ミニステレオ投影」による手軽なオリエンテーションガイド
ステレオグラム画像のビットマップ形式あるいはベクター形式によるエクスポート
SingleCrystal 立体投影 SingleCrystalにおける極と角度のインタラクティブ計測

 

結晶構造データベースを保有

SingleCrystalにおいては、新規回折シミュレーション構築を、スクラッチ開発により(ゼロから)プログラム内で行うことができます。プログラム内部に結晶エディタを保有し、完全な対称性の処理を行うことが可能です。さらに、CIF形式、CMTX形式、CrystalMakerの記録形式であるCMDX形式やCMDF形式の結晶構造をインポートすることもできます。あるいは、構造データを、下記のCrystalMaker 10.5の「強度実況モード」を使用してシームレスに送ることができます。

SingleCrystalは、500の鉱物を含む1,000の結晶構造からなるライブラリを含みます。この結晶構造ライブラリは、インデックス処理されており、検索可能で、瞬時に回折シミュレーションを行うことができます。よくある典型的なデータベースとは違い、非常に洗練されたライブラリであり、CrystalMakerの素晴らしいコレクションの拡張型としてSingleCrystalに対して最適化され、空間群、密度、容積、結晶学的なデータを表示することができます。

 

SingleCrystal 結晶構造データベースを含有 統合された結晶構造ライブラリを使いK、Al、Si、Oのみを含む構造を検索

 

CrystalMakerへの拡張

SingleCrystal4はCrystalMaker10.5以降に対応するものとして設計され、保存された結晶ファイルを読み込み、回折プロパティをシミュレーションします。この2つのプログラムはリンクされることによって、結晶構造を1つの画面で、もう1つの画面で回折パターンを同時に表示することが可能です。CrystalMakerの「回転実況モード」を使うと、一方の画面で回転する結晶を表示し、もう一方の画面でその回転の影響で発生する回折パターンを表示することができます。同様に、回折パターンと、その影響を同時に表示することも可能です。新しい「強度実況モード」はステップアップした機能で、リアルタイムでの結晶構造の編集(移動、回転、原子グループの修正)をCrystalMakerで行いながら、SingleCrystalで回折パターンのシミュレーション結果がアップデートされる様子を表示することが可能です。

 

SingleCrystal CrystalMakerへの拡張 回転実況モード:CrystalMaker内で表示される回転する結晶構造(左)と対応するSingleCrystal内で表示される回折パターン(右)
SingleCrystal CrystalMakerへの拡張 強度実況モード:CrystalMaker内の結晶の編集(左)と対応するSingleCrystal内で表示される回折パターン(右)

 

データと画像の出力

SingleCrystalは、独自形式での保存に対応しており、次回のプログラムの使用の際に、瞬時に表示を行います。また、回折データ一覧と「ゾーン軸」ファイルを、観測パターンのインデックス化のために使いやすい状態でエクスポートすることもできます。背景画像や測定結果を含む回折パターンは、高解像度で印刷することができます。さらに、画像やステレオグラム画像のコピーやエクスポートを、ビットマップ形式かベクター形式の任意の方法で、行うことが可能です。

 

クロスプラットフォームに完全対応

SingleCrystalは、Windowsバージョン(Windows 10対応)とmacOSバージョン(“Catalina”対応)の2つのバージョンからなります。これらの2つのバージョンは、100%ネイティブのWindowsやMac向けソフトです。スクラッチ開発により(ゼロから)各オペレーティングシステム向けに構築が行われ、集積システム、性能、使いやすさに対して最高のパフォーマンスを発揮し、かつ、デザインは優秀です。Macバージョン、Windowsバージョンは同じバイナリ形式ファイルを共有し、同様の特徴を持ち、クロスプラットフォーム研究や共同研究を容易なものにしています。

 

MacOSへの対応

最新バージョンのSingleCrystal 4における、Mac用の素晴らしい特徴の幾つかの例をご紹介します。

「Catalina」上で動作する64-bit「Cocoa」アプリケーション・Macのセキュリティシステムであるコード署名/サンドボックス(セキュリティ領域)/公証システムによる安全性・インストーラなしで1か所に集められたアプリ・マルチコア設計(システムに対応)・「Retina」高解像度グラフィック表示・マルチタッチ操作による回転と拡大縮小・完全カスタマイズ可能なタッチバーインターフェース(MarBook Pro専用)に対応・完全カスタマイズ可能な標準Macツールバーデザインに対応・触覚操作のフィードバック(計測の際に触って感じられる反射)・ダークモード・全画面表示とSpaces(複数デスクトップ表示機能)操作・迅速なプレビュー表示・サムネイル検索・Appleのヘルプ(検索機能付き)

 

 

公開日:2020/02/09
最終更新日:2020/12/04