alvaMolecule
製品概要
alvaMoleculeは、分子データセットの可視化、分析、キュレート及び標準化のためのソフトウェアです。
分子記述子やフィンガープリントを計算するためにalvaDescで使用する分子データセットを準備したり、alvaRunnerでQSARモデルを適用する前に分子をチェックしたりするのに最適なツールです。アカデミックユーザ(および一部の非商用ユーザ)はalvaMoleculeを無料で使用することができます。
開発元:イタリア Alvascience srl
主要な機能
分子ワークシート(Molecular worksheet)
データセットを分子グリッドもしくはスプレッドシートとして視覚化できます。SMILES及びMDLファイル内の追加データは計算された記述子、物理化学的特性と同様にソートとフィルタリングなどに使用できます。
分子構造キュレーション(Molecule structure curation)
エラー構造の特定、特定の構造的特徴のフィルタリングのための10のチェッカーを用意しています。
- 複数構造
- 通常の原子価ではない原子
- 共有結合/イオン結合
- 全電荷
- 同位体
- 荷電原子
- 炭素ではない原子
- 非標準原子(H,B,C,N,O,P,S,F,Cl,Br,I)
- 芳香族性
- ラジカル原子
分子構造の標準化(Molecule structure standardization)
エラー表現の修正、特定の特徴の除去や特定の構造を標準化することができる16個の事前定義されたスタンダダイザーを提供します。
- 異常な共有結合をイオン結合に変換
- 四級窒素に電荷を追加
- 過剰な水素を削除
- 不足水素の追加
- 単原子フラグメントの削除
- 最大フラグメントを保持
- ニトロ基の標準化(-N(=O)=O)
- ニトロ基の標準化(-[N+][O-]=O)
- アジド基の標準化
- ディアゾ基の標準化
- 同位体の除去
- キラリティーの除去
- 結合方向の除去
- ラジカルの除去
- 原子の中性化
- 分子の中性化
更に、SMIRKS言語の反応記述を使用して分子構造を標準化するカスタムスタンダダイザーも使用することができます。
重複分析(Duplicates analysis)
重複した構造や特定の項目に関して同じ値を持つ分子を特定できます。
- Molecule: 同じ分子構造を持つものを重複として特定します。この場合、立体化学などの特徴を無視して分析を行うこともできます。
- Column: 入力された特性値や計算された記述子に関して同じ値を持つものを重複として特定します。
分析が終わると重複と特定された分子がメイン画面に表示されます。Manage duplicatesオプションを使用して重複している分子を削除することもできます。
スキャフォールド分析(Scaffold analysis)
読み込まれた分子に対してBemis-Murckoフレームワークによるスキャフォールドを同定することができます。
分析が終わるとスキャフォールドが最も出現頻度が高いものから順番に分子グリッド表示されます。このグリッドを使ってロードされたデータセットから分子をフィルターすることができます。
ソート、フィルタリング、チャート作成
以下のデータによりフィルタリングを行えます。
- 入力したファイルに含まれるデータ
- ソフトウェア上で計算された分子記述子
- ソフトウェア上で計算された物理化学的特性
チャート作成ツールを用いて上記のデータを視覚化することもできます。
また、SMARTS言語を使用して、特定の部分構造が存在する分子や存在しない分子をフィルターすることができます。
分子記述子と物理化学的特性
88の分子記述子と物理化学的特性を計算可能です。alvaDescに実装されている構成記述子(constitutional descriptors)やリング記述子に含まれている構造的な記述子の幅広いセットを計算します。
更に、alvaMoleculeは、モル屈折率、トポロジカル極表面積(TPSA)、推定分子量、2つのLogPモデル(森口らの手法とゴース–チッペンオクタノール–水分配係数)などのモデルベースのいくつかの物理化学的特性や、Lipinski alert indexなどのドラッグライクやリードライクのスコアを提供します。
88の記述子・特性リストはこちら。
バージョン情報
バージョン2.0.6(2023年4月20日リリース)
- 軽微な不具合を修正しました。
バージョン2.0.4(2023年3月22日リリース)
- スキャフォールドとリンカーに於ける環外二重結合を含むBemis-Murckoフレームワークの識別を改善しました
- 同位体原子を扱っている際の重複分析を改善しました
- 重複分析がアクティブになっている状態で分子ワークシートのセルを編集した場合、編集内容が保持されていない不具合を修正しました
- ピリジン-N-オキシド(二重結合酸素)に対する芳香族性検出を修正しました
- カスタムスタンダダイザーを使用して新たな非荷電原子を付加する際の形式電荷の定義を修正しました
- 「完全結合型の最大フラグメントのみを保持」(“Retain biggest fragment”)のスタンダダイザーを修正しました
バージョン2.0.2(2022年11月11日リリース)
- 縮合環系化合物に対する芳香族性検出を改善しました
- MDL V2000ファイルに関してキラリティー検出とエクスポートを改善しました
- 重複分析がアクティブになっている際の、フィルターされた分子のみをエクセルにエクスポートする機能を修正しました
バージョン2.0.0(2022年9月21日リリース)
- XYZデカルト座標フォーマットで記述された分子ファイル(拡張子:.xyz)を入力できるようになりました。
- データをエクセルファイル(拡張子:.xlsx)にエクスポートできるようになりました。各分子の2次元構造画像を含めることもできます。
- 選択した分子を削除できるようになりました。
- 選択した分子をGoogle Patents/Scholarでも検索できるようになりました。
- ViewメニューにGrid選択が追加され、Molecule worksheetに加えて、入力した分子を2次元構造イメージのみで表示するMolecule gridが利用できるようになりました。
- Molecule worksheetに於いてSMARTSによる部分構造を使用して分子をフィルターすることができるようになりました。フィルターされた結果はMolecule grid表示でもそのまま保持されます。
- 各分子の2次元構造画像のフッターとして入力情報や計算された記述子の値などを表示できるようになりました。
- グラフ表示に於いて機能が追加されました。
- 棒グラフと散布図において、マウスオーバーすることにより各分子の情報を表示
- グラフデータの保存メニュー(表示されたグラフ上の右クリックメニュー)
- 散布図上の投げ縄選択(右クリックメニュー)
- ViewメニューのHighlight表示に新たなオプションが追加されました。
- SMARTSを使った部分構造のハイライト表示
- Bemis-Murckoフレームワークを用いたスキャフォールド(骨格)情報のハイライト表示
- Standardizeメニューに新たなstandardizerが追加されました。
- ニトロ基をN(=O)=Oへの変換に加え、[N+][O-]=Oへ変換
- 通常の原子価を保持しながらラジカルを除去
- 原子を中性化
- 分子を中性化
- 構造チェックのメニューに於いて、非標準原子のセットにホウ素が追加されました。
- Toolsメニューに重複分析(Duplicates)が追加されました。
- 分子の構造により重複を検出
- 重複が検出された分子を自動的に削除
- 入力情報や計算された記述子の値などのカラムを指定し、同じ値の分子を検出
- Toolsメニューにスキャフォールド分析が追加され、どのBemis-Murckoスキャフォールドがあり、何個の分子がその骨格を持っているかが表示されるようになりました。
バージョン1.0.4(2020年4月20日リリース)
- ヘッダーつきのSMILESファイル(タブで区切られたテキストファイル)の読み込みと保存ができるようになりました。
- 分子グリッドの項目名を右クリックして表示されるメニューから
- 各列の「表示」と「非表示」の切り替えの操作が可能となりました。
- 各列の「固定」と「解除」の切り替えを行う機能が新しく実装され、操作を行うことが可能となりました。
- 「全てのフィルタをクリアする」コマンドが追加されました。
- 無効な分子を確認するステップ「構造をチェックしています…」の後に、新しい列が追加されるようになりました。
- SMILESファイルを保存するファイル形式について改善されました。
- 並び替えされたデータセットを保存する際の不具合が修正されました。
動作環境
対応OS
- 64-bit Windows
- 64-bit Mac OS
- 64-bit Linux
関連製品
alvaDesc
最大5,000超の分子記述子と3種(PFP/ECFP/MACCS166)のフィンガープリント計算が可能なソフトウェア。
alvaDescページはこちら
alvaBuilder
de novo分子設計用のソフトウェアツール。
alvaBuilderページはこちら
alvaModel/alvaRunner
定量的構造活動/特性関係(QSAR/QSPR)モデルの作成を行うソフトウェア/alvaModelの作成モデルを基に計算。
alvaModel/alvaRunnerページはこちら
ライセンス形態
alvaMoleculeのライセンスは、企業向け一般ライセンス(商用)とアカデミックライセンス(教育用)の2種類のライセンス形態があります。アカデミックライセンス(教育用)はフリーです。無償利用をご希望の方は、弊社営業担当までお問合せください。
評価ライセンス
無償評価ライセンスをご提供可能です。
ご希望の場合、こちらの評価ライセンス申請フォームからご申請いただくか、弊社営業までお問い合わせください。
価格情報
alvaMoleculeのライセンスは、アカデミックライセンス(教育用)はフリーですが、企業向け一般ライセンス(商用)は有償です。ライセンス形態と価格については、お問い合わせフォームからお問い合わせいただくか、弊社営業までお問い合わせください。
最終更新日:2024/09/04